業務内容変更中の今期一年ですが、唯一の継続作業としてベアリングのチューニングは引き続き行っています。
シールドベアリングでもカップ&コーンでもクリスキングの様なオリジナル規格ベアリングでも全てチューニングは可能です。もちろんHUB、BB、HEADSET、PEDALなどベアリングを使用しているパーツは全て対応しています。
BOREDのチューニングは単なる注油交換作業ではありません。それに回転性能だけを重視したチューニングではありませんので念の為。
基本的にBORED METHODのオイルコンセプトと同様に、まず一番は耐久性や寿命を重要視しています。次に油膜の粘度抵抗を減らす意味でBORED独自の表面処理とチューニング用オイルを使用しています。
上記の様にBOREDの求める回転性能とは「速くする」のではなく「抵抗を減らす」のが目的と結果です。抵抗を減らさずにどうやって速くするのか?理屈が通っていません。
なので実際は一般的なグリスと比較して回転性能は当然上がるのですが、回転性能だけを唄ったチューニングでは無いと言う事です。安易に「速い」だけを唄う事は無責任と感じているからです。今日一日またはこの数日間限定などの理由で回転性能だけを重視するチューニングは選手などの依頼で行いますが、これはあくまでも決戦仕様となりますので一般的にはお勧めしていません。
さて、チューニングの話に戻りますが、先ずシールドベアリングの場合は基本的にBOREDチューンドベアリングへの打ち替え交換後の調整作業がメインとなります。
ベアリング自体をオスとした場合、圧入するボディをメスとします。このメス側の精度も重要視します。これは旋盤を使用してダイヤルゲージで計測する場合や、旋盤でチャッキング出来ない形状の場合はオリジナル治具を使用して隙間公差を計測します。BOREDが理想としている隙間公差はPAULやMAVICの基準公差です。これと同等になる様にメスのボディ側を研摩する場合があります。もちろん製品個々に精度は異なりますのでその都度計測する必要はありますが、詳しい計測方法や作業方法は企業秘密です。
そしてBOREDの基準公差に仕上がったボディへBOREDチューンドベアリングを圧入して各部をセッティングすれば完成ですが、同時にアクスルの曲がりを計測したり錆や汚れは全クリーニングされ防錆処理後に組み付けされます。
そしてカップ&コーンの場合は、間違いなく旋盤が無ければ出来ない作業となります。良く単純にカップまたはコーンを鏡面研摩すれば良いと思っているショップがありますがそれは大きな間違いです。
円形の物は回しながら作業するのがセオリーです。考えれば馬鹿でも分かる事ですが、一点を固定して対象物側を回す。これで研摩の精度が維持出来る訳です。逆に回っている研摩工具にカップやコーンを押し当てるとすれば、それは手加減になるので均一ではありません。大袈裟に言えばボコボコの研摩面になってしまい、角度や深さなども狂わせてしまいます。要するに逆に精度を悪くしている事になります。平面研摩とは基本的に異なるはずだと言うのがBOREDの考えです。
BOREDでも旋盤を導入する前には工場へ依頼し旋盤用のチャックが付いたモーター直結の研摩用治具を製作し使用していましたが、恐ろしい回転数だったのでいつ指を切断するのかと冷や汗ものでした。更にその前はボール盤を改造して横型フライス風にそんな機械を自作してみた事もありますが精度が安定ぜずに廃棄しました。それ位一点支持や治具にはこだわりを持っています。
旋盤がある現在も回転数が自在に変更出来る様インバータを取り付けしたりなどの改造は行っています。旋盤導入後はその重量から研摩する安定性も格段にアップしました。やはり機械は重たい方が安定するので 振動が少なくて済みます。
それら条件が整った事で、はじめてカップまたはコーン面の切削抵抗を減らす目的での研摩作業を行える様になり、正々堂々とお客様から受注出来る様になりました。それが今から7〜8年前の事です。
現在までに恐らく数千個のチューニングを行って来ました。と言うのも数年前の時点で累計1万個以上のシールドベアリングを仕入れて来たからです。基本的に2個1組なので単純計算で5000セットです。更にカップ&コーンのチューニングも合わせれば5000セットでは到底済みません。
ここまでの実績と数値からようやく触ったり見ただけで何となく症状や状態が分かる様になってきましたが、それまではやはり計測する事を重要視していました。
現在も継続しているチューニング作業は基本的に通販メインとなっていますが、有り難い事に日々ご依頼をいただいています。BORED DEALER経由でのお預かりも可能となりますので、気になる方は是非一度BOREDチューンをお試し下さい。