2014/06/28

一般的なシールドベアリングは構造的に外輪、内輪、リテーナー、ボール、シールの5点から出来ています。外輪と内輪の間にリテーナーに保持されたボールが収まっていて、そこへグリスやオイルが注油され、内部をカバーする為にステンレスシールやゴムシールでカバーされています。
ベアリング自体は様々な規格や精度がありますが、汎用(一般的)レベルであっても一部某アジア製品を除き超高精度です。外輪、内輪、リテーナーの丁度中心位置に触るか触らないかの公差で存在しているのがボールなのですが、当然上記いずれかの部品と接触しています。その接触における潤滑をグリスやオイルで行なう訳です。
金属は熱により必ず熱膨張を起こします。その熱とは摩擦や衝撃による連続または瞬間的な作用により発生しますが、その熱膨張により上記ベアリングの精度が変化し隙間公差などに影響してきます。
ただし、仮に自転車の最高速度レベルを100km/hと想定した場合でもベアリング内の温度上昇は数度程度です。当然季節による外気温も影響して来るので、例えば真夏の炎天下であれば何もしていなくても40度や50度まで上昇しますし、例えば自転車のハブで言えば概ねアルミで出来ている為に特に熱膨張し易い素材となりますが、だとしても走行後に10度も20度も温度上昇する事は絶対にありません。
基本的にオイルの粘度を決定する基準として、40度と100度を基準として動粘度を決定する必要があります。これはオイル業界の基準規格です。
BOREDでは40度の場合を重要視してオイルを製作しています。これは自転車をはじめスケートでもリールでもラジコンでも全て同様です。
例えばエンジンオイルなどの様に100度(高温)を越えた時の動粘度を気にする必要は全く意味が無く唄う必要はありません。40度を基準に外気温が高ければオイルの粘度は下がり、外気温が低ければオイルの粘度は上がります。それにプラスして上記の様に摩擦や荷重による数度程度の温度変化を考慮に入れなければなりませんが、数度程度の温度上昇なので粘度に大きく影響する事はありません。
さて、そして重要になってくるのがベアリングシール内でどれだけオイルが存在していられるか。温度による熱膨張や回転による遠心力が影響した場合に目視でオイルが漏れ切ってしまった場合。BOREDオイルに関してはそれでも油膜が薄く存在しています。通常使用において完全ドライ状態になる事は決してありません。
それについては散々説明して来ました通り、化学合成基油の特性である化学的な電気吸着と粘弾性添加剤による物理的吸着が相乗するからです。
ただし、内側から漏れ出るオイルにおいては上記の説明通りとなりますが、逆に外側からの水分や埃の混入も考えられます。これは各ベアリングメーカーのシール種類や設計の問題であり、更に使用状況や使用環境により様々なシチュエーションが想定される為こちらでコントロール出来ません。よってメンテナンスやクリーニングが必要となってくる訳です。
ベアリングにおける最低限のメンテナンスとして、脱脂洗浄を行った後で完全に乾燥させる事。間違っても食器用洗剤などを使って水の中で洗浄したりしないで下さい。必ず溶剤系を使用する事。シンナーでもアセトンでも灯油でもかまいませんが、出来れば市販のパーツクリーナーが最適でしょう。上記にて洗浄後は必ず15分以上放置して完全に乾燥している事を確認してから注油を行って下さい。そうでないと乳化による白色化が起こり性能が半減してしまいます。
現在の様に快晴で高温な状況であっても、急激な天候悪化による温度の低下や湿度の上昇などの影響はベアリングをはじめ各種金属にとっては一番過酷な季節となります。
それらに対処するべく、事前にしっかりとクリーニングを行いメンテナンスを心がけましょう。
それにしても相変わらずBOREDの作業場内にはベアリングが多数。画像の物はほんの一部です。