2019/11/03

先日アップしましたVITALから発売予定となるパックロッドのハンドルセクション画像ですが、今回のパックロッドもVITALオリジナルのギミックを加えています。
前回VITALにて数量限定生産しました1ピースロッドにはオリジナルギミックとしてFUJIのACSリールシートへノンスリップペイントを施していましたが、最近ではこのノンスリップペイントも他のカスタムロッドメーカーが行ってしまったので、VITALが元祖?のオリジナルながら敢えて今回は採用していません。
その代わり前回同様にアルミ削り出しの新たなワインディングチェック一体型フォアグリップを今回は全長23mmにて製作し、またガイドの取り付けにはオリジナルのセミダブルラッピングを行っています。
画像のフォアグリップは汎用旋盤から自身で削り出したサンプルですが、中央のスリットは製品では省き全面ローレットの質実剛健仕様になります。
そしてセミダブルラッピングって言葉があるのかどうかは分かりませんが、要するに本来のダブルラッピングはブランクに先ずはスレッドのみをラッピングしてからコーティングし、そのコーティングが乾いた後でガイドを載せてから再度スレッドをラッピングしてコーティングする二重構造となっています。
今回のパックロッドではガイドのフット裏に500Dのコーデュラナイロン生地を小さく切った物を予め接着しておき、その上から通常どおりシングルでスレッドをラッピングすると言う物です。
一応コーデュラナイロンて何?と言う方の為に、市販流通品でアウトドアバッグなどに使用される最強のナイロン生地として、アメリカのインヴィスタ社からラインナップされているコーデュラブランドのナイロン生地です。
通常の一般的なナイロン生地に比べ7倍の強度を持っており、摩耗強度や引張強度が高く耐久性に優れたバリエーションも豊富な事が特徴で、裏面にはポリウレタンがコーティングされているので防水性にも優れています。
VITALではこのコーデュラナイロン生地中で最も軽量な500Dをガイドのフットのみに接着している事で、一応セミダブルラッピングとしています。
特にヘビーロッドにおいてはブランクが大きく曲がった際にガイドのフットがブランクに接触し、亀裂から破損する事を回避する目的としてダブルラッピングが好ましいのですが、どうしても重量の増加やコーティングの厚みが出てしまう事がネックでした。
今回のパックロッドはKRガイドのKLWを使用していますので、パックロッドの本質としての持ち出しを考えると少しでも軽量化を意識する事は当然の事となります。
ただし最新のマイクロガイドの様に余りにも小径過ぎるガイドセッティングはブランクとのバランスも悪くなるので、今回は元ガイドから10番、8番、6番と先ガイドも6番でバランスの良いセッティングを出す事が出来ました。
実は市販のヘビーパワーなパックロッドではこのガイドセッティングも余り見かけないので、このセッティングにはかなり時間を費やしました。
ガイド数はトータル10個で、ティップセクションはFUJIのニューガイドコンセプトに近く、ベリーセクションとバットセクションはオリジナルのセッティングです。
もちろんパックロッドなのでセッティング範囲には限界もあるのですが、このセッティングを出す為に2kgと4kgのウェイトを何度もリフトしながら位置の微調整を行いました。
今回VITALから発売予定のパックロッドは日本国内生産のブランクとハンドルパイプに海外から仕入れたフェルールやアーバーをブランク工場にてセッティングし、その他ジャストエースやマタギの周辺パーツは直接取引にて入手しています。
パックロッドはどうしても作業工程が多くなる為にコスト高となってしまいますが、それを価格に反映させない為に、上記の様に一部の市販流通品や海外仕入品の使用、またブランクの無駄に派手なコスメの排除を行い何とか5万円を切る価格で調整しています。
11月の早い内に先行受注を開始させて頂き、現時点での目安納期として初回生産数は10本で年内納品とし、次回生産数も10本で年明納品となりますが、以後の生産ペースは来年になって調整します。
取り急ぎ現状で決定している部分とその画像となりますのでご確認ください。