先ずその状態と言うか粘度についてですが、以前BOREDで発売して来ました低粘度のグリス類はグリスの粘度を示す規格として「ちょう度0番」と表示していました。これを例えると溶けかかったマーガリン程のイメージです。体温でゆっくり溶けるイメージで非常に油っぽい。正にマーガリンその物のイメージでしたが、マーガリンはあくまでも固形です。
今回のTHICK HEAVYは例えると凄く濃いハチミツと言うか、容器を逆さまにして振らなければ中身が出て来ない程の粘度です。更に配合されている粘弾性添加剤は正に納豆の様な糸を引く性質なので、更にまとわりつくイメージです。それでもハチミツは液状になりますので固形には無い滑らかさがあります。
上記の2例から推測していただけると固形または液状のイメージが伝わると思います。
結局は固体と液状ではそもそもの状態が異なるので、使用用途としては同じであっても効果としては異なる部分が出てきます。
昨日も書きました様に、隙間や溝などに浸透させる為には液状の方が遥かに有利で、それが遠心力や圧力により飛散せず、ちゃんと存在していれば効果は十分と言う事になります。
それと市販品も同様ですが、オイルとグリスを単純に極圧試験にかけた場合、オイルの方が優秀な物が多く存在しています。グリスはオイルに増ちょう剤を混ぜて出来ているので、考え方によっては増ちょう剤で薄まっている。だとすると純粋にオイルの方が優秀な物が多い理由になります。
ただ、どうしても外観的なイメージから固形ペースト状の方が付着しているイメージとなり安心感があるのは事実です。それにどんなに高粘度なオイルよりも油膜全体の厚みはグリスの固形ペースト状にはかないません。
そこで今回は目視でも油膜が存在している程の粘度を持たせ、更に付着しているイメージに対抗する為に粘弾性添加剤を多く配合しています。
また、当然ベースオイル自体の化学的分吸着効果もあり、上記の物理的吸着と相乗すると確実に油膜が存在しグリスよりも細かな隙間や溝に浸透しやすくなると言う事です。
このTHICK HEAVYはそれほどオーバースペックな性能となり、化学的にも極圧添加剤と減摩調整剤の高配合により自転車以外の摩擦摺動部にも十分耐える性能となっています。
ぶっちゃけると工作機械や建設機械の変速ギア、油圧ポンプなどにも使用出来るスペックです。ただ、それらの工業機械用をそのまま使用すると今度は別な問題が出てきます。まず工業機械用はほとんどが安価な鉱物油ベースとなり、手早く効果を出す為に塩素系添加剤を使用しています。これは環境にも人体にも影響があるので、今や率先して使用する意味はありません。
そこでBOREDではベースオイルに化学合成オイルのポリアルファオレインを使用しました。これは元々粘度指数が高いオイルとなり今回の目的には最適だったからです。そして添加剤には硫黄系添加剤と燐酸系添加剤の複合配合により塩素系と同等以上の効果を得る事が出来ました。
上記の様に特に荷重のかかった摩擦には効果は絶大なので、自転車で言えばボトムブラケットのベアリングやフリーのカセットボディには最適でしょう。フリクションロスを最低限に止めながらしっかりと油膜が存在している。
回転性能が必要なハブベアリングなどにはBLOODY SYNTHETIC LUBRICANT REVISEDをはじめBOREDの既存オイルで対応し、その他の部分や組み付け及び圧入時にはTHICK HEAVYを使用すればオイルだけで完結する事が出来、厄介な手指の油汚れや余分なグリスの拭き取り作業などが無くなります。
引き続きBORED STOREよりご予約お待ちしています。