新製品予定の超低粘度グリスについて。
これまで数回に渡りサンプルを生産して来たのですが、確定部分は幾つか決定していながらも最終的にフィーリングの面で少し悩んでいます。
先ずはファーストサンプルを使用した結果、極圧添加剤はDELTA、ALPHA、THETAの既存3グリスで共通している物を使用しているので被膜生成は信頼出来る事として確定なのですが、フィーリングに直結する粘性については少し見直す方向になりました。
次にセカンドサンプルを使用してみたところ、精製鉱物油にポリアルファオレフィン合成油を加えているのはグリスの増ちょう剤であるウレアへの懸念では無く、あくまでも油分における剪断性と耐熱性の強化としての事なんですが、それにしても油分配合の後で粘弾性添加剤の配合を調整すると粘性が極端に変わり過ぎてしまいました。
この配合レシピは8種類ほど提携業者へ渡してありましたが、セカンドサンプルの結果を踏まえて最初の数値からやり直す事にして、結局はサンプルグリスを破棄して既存のTHETAをベースとした方が理想に近いと言う結果に。
今回もウレア系と言う事で出来るだけ配合する油分を少なくしながらも超低粘度らしい粘性はシッカリと加えておきたく、イメージとしては先日珍しくSNSで動画をアップした様にTHICK HEAVYのグリス版?的なイメージなんです。
そして先週は恐らく最終サンプルとなる2種類のサンプルを生産して来まして、反応工程を行う為の専用釜で生産されたばかりの粘度イメージが素晴らしく理想に近い結果なんですが、時候処理させた後では僅かに粘性イメージが変わってしまうんですね。
これは単に温度の問題で当然ながらあらゆる油脂類は温度が高ければ粘度は低く、温度が低ければ粘度は高くなるのですが、その基準は40度で決定すべく規格であり、その温度では理想的でも時候により常温になった際の粘性が少し違う。
でもその後の圧力行程を経た時点ではやはり滑らかさが断然違って来るので一瞬理想的にも思えるのですが、やはり常温でのイメージが少し違うんですね。
それをどうやって修正するか?
やはり配合油分の調整からやり直す事になりそうで、現在スピニングで試用している分には合格でもあるんですが、ベイトで試用すると何と言うかモタ付く?イメージなんです。
今回の超低粘度グリスは先日廃盤としたLDGとTHGの後継と言う位置付けでもありますが、ウレアを使用している事からも全天候型としてキチンとした耐久性を持たせたアップグレードであるべきなんです。
つまりメインターゲットはフィネスやライトリグなどの比較的センシティブな用途において、グリスの粘度抵抗を極力減らす事でシルキーさやスムーズさを得たいと言うところであり、粘度は超低粘度ながらも粘性はしっかりと確保しておく事が重要なんです。
それが失われると使用における経年で油分が必要以上に離油してしまい、結果的に全天候型をアピール出来ない事になる。
まぁ今自分がサンプルテストを行っているベイトは19カルカッタコンクエストDC 201HGなので、これは本来このグリスにおける対象機種では無いかもしれないのですが、逆に言えばこれでMETHOD基準の合格ラインをクリア出来るなら尚良しと言う事になります。
負荷や状態など当然日々使用する毎に変化は起きているので、現状ではこれで合格としても何ら問題は無いのですが、後もうちょっとだけ粘性の調整を行ってみて合格ラインをクリア出来れば即量産に踏み切る事が出来ます。
と言う事で結局は5月のGWが明けて以降の最終決定となりそうですが、逆にGW中は連日酷使する事が出来るので、上手くその点が生かせればと思っています。
グワッと一気に書いたので何を言ってるのか分からないかもしれませんが、取り敢えず5月中には画像のDELTA、ALPHA、THETAに新しく弟が出来そうですと言う事です。