現在BOREDのMETHODオイル中で最も粘度の低い製品としてKRAKENオイルが在ります。
同じくソルト向けとして極近い粘度としてHYDRAオイルが在りますが、こちらは配合している防錆化合物が徐々に防錆被膜を生成する為に若干ながら粘度の変化が生じます。
KRAKENオイルは2016年後期にモデルチェンジを行い現在の粘度目安ISO規格のVG7と言う超低粘度としてフィッシングやスケートボード向けオイルとしていますが、実はそれ以前のKRAKENはVG5でフルエステルと言う更に超低粘度のオイルとなっていました。
フィネスやライトリグなど小さく軽い対象ルアーを細いラインで使用する前提の場合、キャスト時のあらゆる抵抗を減らす目的としてベアリングやオイルの選択は重要な要素となりますが、単に超低粘度化すれば良いのか?と言うとそうでは無く、潤滑油として本来の意味を考えるとBOREDが2003年以来一貫して主張し続けている油膜の強靭さがあっての事と考えています。
仮に潤滑と回転だけをターゲットに極限まで超低粘度化させるのであれば、シリコーンオイルの使用やKRAKENを1滴に対し溶剤を9滴の混合で超速回転化させる事は出来ます。
ただし、これらの販促技では油膜が維持出来ずに金属同士の焼き付きが生じ、つまり確実に精度の狂いが生じた結果その日の内に破損や故障を発生させるでしょう。
それでもやってみたいと言う人は10回のキャスト毎に全てのベアリングへ1滴の注油を一日中繰り返す事が出来るなら維持出来るかもしれませんが。
本題となりますが、オイル全体の事としてVG粘度を下げて行くと同時に油膜の厚みが薄くなって来ます。
この油膜の維持を最大目的としているMETHODオイルでは当然ながらオイルの種類として化学合成油または合成油に拘る必要が出て来ます。
使用している化学合成油にはエステルコンプレックスまたはノンポリマーエステルを使用しており、合成油にはポリアルファオレフィンを使用しています。
特に化学合成油のエステルは電気的作用により金属面に化学的に吸着する性質があり、もっと簡単に言えば磁石の様に油膜と金属が引き寄せられる性質です。
そして合成油のポリアルファオレフィンは安価な鉱物油で不足している性能を補う為に化学的に生産されたオイルとして、主に耐熱性や剪断性が大幅に向上し鉱物油の様な不純物を一切含んでいません。
但しこれら化学合成油と合成油の唯一の欠点としては、ゴムなどを変化させてしまう事にあります。
とは言え実用上では確認出来るレベルにはありませんが、理論的にと言う意味では欠点と言えるでしょう。
エステルはゴムを膨張させポリアルファオレフィンはゴムを収縮させます。
そこで考えられた対策としてこれら2つの成分を混ぜてしまい欠点を相殺してしまう事にあります。
所謂プラマイゼロにしてしまうと言う事です。
BOREDのMETHODオイル中ではLIGHT DUTY以外の全てのオイルはエステルとポリアルファオレフィンが混合されたオイルとなり、では何故LIGHT DUTYはフルエステルなのかと言うとサイクルメカニック時代からの継承として主な使用ターゲットをチェーンに絞っているからとなります。
もちろんこのLIGHT DUTYはビッグベイターのベアリングオイルとしても非常に人気が高いのですが、使用寿命から逆算した実用上はゴムシールにも影響の無い点は既に確認済となりますのでご安心を。
つまりBOREDのMETHODオイルは実用上ゴムにも影響の無い事を確認した上で、鉱物油には無い特殊な化学的吸着に加え巷では非ニュートン系と言われている物理的吸着作用のある粘弾性添加剤を配合したダブルの吸着効果により強靭な油膜を実現しています。
VG粘度を下げる事だけを目的としたオイルでは無く油膜の維持を最大目的とした場合、現在のKRAKENオイルが超低粘度オイルの限界値としたMETHODの考えとして、強靭だからこそ使用量の調整が出来ると思っています。
市販他社のオイル表記において化学合成油、合成油、シンセティックのいずれかが記載されていないオイルは全て鉱物油になりますので、上記を参考にゼヒBOREDのMETHODオイルをお試しください。
引き続きのお買い求めはBORED STORE及び全国のMETHODお取り扱いDEALER各店にてお待ちしています。