ワンウェイベアリング、ワンウェイクラッチ、ニードルローラーベアリングなど様々な呼び名が存在している画像のベアリング。
BOREDではワンウェイベアリングと呼んでいますが、この特種な機構を持ったニードルベアリングは、フィッシングリールのハンドル周りには常用されています。
一見すると単なるニードルベアリングが収まったパイプ状のベアリングに見えますが、実際はパイプ状の内側にはニードルベアリングが入るスペースが形成されていて、一定方向に回ろうとするとリテーナーのスプリング作用でニードルベアリングがそのスペースに収まり、クサビ効果で回転を固定する仕組みとなっています。
何の事だかサッパリ分かり難いかもしれませんが、例えば左へ回そうとするとニードルベアリングがスペースに入り込み回転出来なくなり、今度は右へ回そうとするとそのスペースからニードルベアリングが抜け出して回転出来る様になると言う仕組みです。
つまりフィッシングリールのハンドル周りに使用するシャフトの回転方向を決めるパーツであり、特殊構造である為に様々なトラブルの原因にもなっています。
ネット検索ではオイルもグリスも使用しないとか、オイルだけを注油するとか、グリスを少量使用するなど、あらゆる情報が飛び交っていますが、BOREDとしてはあくまでもベアリングである以上は注油が必要なパーツとして認識しています。
当然ながらオイルもグリスも使用しなければ錆や焼き付きが起こり、間違い無く異音や故障の原因を引き起こしますが、難しいのはオイルなのか?グリスなのか?そして粘度は?と言う事。
先日は試しに自分のリールに敢えて一番重たいDELTAグリスを塗ってみましたが、これはこれで問題無く作用していまして、その以前には逆にLDGグリスを塗ってみた事もあるのですが、こちらもまた問題無く作用していました。
このワンウェイベアリングは汎用機械部品として流通している物なので、ベアリングメーカーの資料を読んでいたところ、やはり各社共に注油は必要とありましたが、その内一社の記載には指定オイルの推奨粘度が表記されていました。
常温においてはISO規格のVG10と言う非常に低粘度なオイルが推奨されていましたので、METHODで言えばKRAKENやGOLYATよりも僅かに高粘度なオイルと言う事になります。
ただし、市販他社が多く使用している固形添加剤であるフッ素やモリブデンなどはそれら自体がゴミ化してしまう事で、ワンウェイベアリング内のリテーナーにこびり付きスプリング作用を妨げてしまい、固着を引き起こす原因にも挙げられています。
グリスの場合も同様で、その粘着性により上記の固着と同じ様な事を引き起こしてしまう恐れもありますので、やはりサッパリとした低粘度オイルながら寿命の長い事が最適と判断しました。
で、早速サンプルを製作していたのですが、手元にあるベースオイルに防錆添加剤だけを加えた物をポリマーで粘度調整してみた結果、あまりにも普通?なオイルが出来上がりまして、でもネット検索においてはその普通なオイルが一番好評だったりもしていまして正解?な様で中々地味な難しさを感じています。
円柱状のニードルベアリングはボールベアリングよりも接触面が多い為にキチンとした油膜の維持と摩擦の低減は必要となりますが、某ネット情報においては極圧添加剤が悪との記載がありましたが、これは固形の極圧添加剤の事を示している物であり、元々液体の極圧添加剤であれば全く問題ありません、と言うかむしろベアリングには必須となります。
上記サッパリオイルに何の極圧添加剤を使用するのかは今後のテスト次第と言う事になりますが、METHODとして一つ明確に用途指定する専用オイルの設計は初の事でもあり、実現するのかしないのか?先日からハマっている自分のABUパーミングカップモデル達でテストしてみたいと思います。