以前にも何度かご案内していますが、サイクルにおけるカセットハブのラチェットへ使用するオイルやグリスの推奨。
例えば代表的なカンパニョーロやフルクラムの様に複数の爪が一つのスプリングにより連動しているタイプにおいては、爪のレスポンスに若干のバラつきが生じ、その為に元々スプリングの力は弱く受けのラチェットはナローな角度に設定されています。
同じくプロファイルやホープなどの様に爪とバネが1セット単位で作用するタイプにおいては、常に爪のレスポンスは殆ど同時に連動する為にバネの力は強めでラチェットもシャープな角度に設定されています。
カセットハブのラチェットにおいてはこれらの点を考慮して、なんでもグリスをタップリ封入しておけば良いと言う訳では無く、それぞれの特徴に応じてオイルやグリスをセレクトしてやる事が一番シンプルで最適なレスポンスを得る事が出来ます。
そして一番厄介に見えるのは画像にあるDTのラチェットであり、これこそ正に摩擦を象徴した様な形状ではありますが、意外と滑り方向においてはスムーズなので、その分オイルやグリスのセレクトに気を遣う事無くクイックなレスポンスを得る事が出来ます。
具体的な使用推奨として、日常使用の通勤通学や短距離移動においてはMETHODのTHICK HEAVYオイルをラチェットの受け側へ一周万遍無く塗布してください。
ホイールを立てた状態でギリ流れ出て来ない程度が目安となります。
そしてスプリングが嵌っている溝などにはCHIMERAオイルまたはLIGHT DUTYオイルを綿棒などを使い薄く塗布してやれば、長期的にシルキーなレスポンスを維持する事が出来ます。
逆にレースやコンテストなどレスポンスも重視しながらも瞬間的な負荷や衝撃が多いシーンにおいては、CHIMERAオイルを上記同様に万遍無く塗布してやるか、ALPHAグリスを薄く塗布してやる事で潤滑性と極圧性のバランスが良く非常にクイックなレスポンスを得る事が出来ます。
これらを単に市販の高粘度グリスなどで代用し更にラチェットが埋まる程に大量な注油を行うと、スプリングやバネの動きがグリスの粘度により妨げられ瞬間的に動いている爪のレスポンスが失われてしまい、場合によっては上手く爪が戻らない事でタイミングがずれてラチェットの受け側と大きく摩擦してしまう事があります。
これがラチェット内の大きな摩擦や破損の原因です。
もちろん全く注油されていない状況は有り得ませんが、上記の様に大量に注油し過ぎても問題となるパーツなのでご注意を。
ちなみに面で動くDTにおいてはいかなるシーンでもTHICK HEAVYオイルが常にベストかと思われ、余りオイルやグリスに依存しない動きのシステムなので薄く均一に塗布されていれば問題無いと思われます。
新年度も始まり交通手段としてのサイクル需要が高まるシーズンになりますので、是非上記にてMETHODオイル&グリスを使ったメンテナンスをお試し頂ければと思います。