連日ナイフとアパレルのBORED BLOGとなっていますが、今はそんなタイミングなので仕方ない。
さて、最近の業務パターンは朝出勤してすぐに火花にまみれながらナイフ造形の為の切削と研削を行い、営業時間の10時になるといつものパターンでメールやオーダーのチェックを。そしてパソコン仕事が終わると既存預かりの自転車関係を引き続き作業し、その間も入金確認やメールをチェックしながら夕方になると注文品の発送業務。現在は定時が18時なので特に用事かなければ調べ事や業者へのメール作成等を済ませまたナイフ造形を行っています。
全く今年は変な天候続きだったので作業の段取りが大幅に狂ってしまいましたが、ここ最近は何故か暖かさが戻り天気が安定している。この隙にナイフのエッチングやブルーイングなど天候に左右される処理を行っておかないと、また台風やら雨天で作業がストップしてしまいます。それに既存預かりの自転車関係へのブルーイングなんかも同時に行えるので一石二鳥。ま、自転車関係は研磨など下地作りに地道な時間がかかるのですが。
そんな訳で今日は湿度が高いので自転車作業は定時で済ませ、残業して画像のナイフ製作を進めています。
こちらも在庫予定となります長い方の220105です。外形の造形作業は全て完了し研磨したブレードを仮ブルーイングしています。研磨の具合を確かめる意味での仮ブルーイングですが、今回の鋼材はやたらと発色が派手目です。
この後でハンドル材となるカーボンを切り出してナイフ本体と接着しますが、画像のハンドル部分に開いた無数の穴は接着剤が溜まる場所を設けている為です。鋼材の下地処理によって荒いヤスリ目だけで済ませる場合もありますが、今回は貫通しない程度の浅い穴を大量に開けて対応しています。ついでに大きめの穴はなんとなく軽量化の為に開けましたが余り貢献していないかもしれません。
ここまでの作業を全て手作業で行っています。業者に注文した鋼材が届くと知り合いに依頼してバンドソーでナイフの大まかな形状へ切り出してもらいます。バンドソー持ってないだけの話しなんですが。それから第一の難関、怒濤のサンダー作業が始まり3種類の砥石を付けたサンダーを3台使いこなしナイフの形状を作り出します。サンダーは4台持っているのでいちいち砥石を付け替えなくて済む様にしています。そしてフライスに載せてエンドミルとフライカッターでブレードの刃や背を削り出し、同時にナイフ全体の平面も削り出してしまいます。元々鍛造された鋼材なので綺麗な平面が出ていない為の下処理です。この段階で酸によるエッチングを行います。それから第二の難関、怒濤の鉄鋼ヤスリ&ペーパー研磨作業の開始です。上記作業でサンダーの多羽ディスクを使いある程度砥石目を消してありますが、今度はその多羽ディスク目を消して行きます。並行と垂直を同時に見ながら自然なアールになる用にパーパー治具を使い180番から研磨を開始して最終的に600番まで研磨します。それが終わるとボール盤で画像の様なハンドル部分の接着下地穴開け作業やヤスリ目作業を行います。ここまでの状態が画像の状態です。ここからが第三の難関、ドライカーボン板をチタン糸鋸で地道に手作業で切り出しますが、もう粉状になったカーボンが手に刺さって痒かったり痛かったり。肉眼では見えない大きさなので常に我慢しながらの作業。そんな思いで切り出したハンドル材のカーボン板を大まかにペーパー研磨で造形し、いよいよバイスの上で2液エポキシにて接着。完全硬化には12時間かかるので結果丸一日放置します。完全硬化を確認したハンドル部分にプラハンマーなどで衝撃を与え異音や剥がれがないか確認し、またペーパー研磨で外形を整えます。ここからは終わりが見えないほどに細かなアールなどを確認しながら自然な形状になる様仕上げて行きます。カーボンハンドルの面取りや各部の細かな修正研磨を行いながらようやくナイフとしての造形が完了。そしてブルーイングや刃付けの研ぎを経て完成となります。もちろんご注文後は業者へ引き渡しレーザーマーキングを行いますので、ここから1週間程のお時間がかかります。
改めて書いてみると非常に行程が多過ぎる。鋼材やドライカーボン材などの材料費以外にどれだけ手間がかかっているかお分かりいただけたと思いますが、やっぱり値段安過ぎたかもしれない。さて、BORED STOREよりご注文お待ちしています。